天カセってどんなエアコン？人気が高いメーカーはここ！

さまざまな種類がある業務用エアコンですが、導入を考えているのであれば、天カセタイプのエアコンを導入してみてはいかがでしょうか。天カセは天井内に埋め込むので設置場所を取らず、機能性もよくて人気が高い業務用エアコンです。

今回は、天カセがどのようなエアコンなのか、人気の高いメーカーも併せて紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

天カセはどんな業務用エアコン？

まずは、天カセとはどのようなエアコンなのか解説します。

・天カセとは？

天カセとは、「天井カセット形エアコン」の略です。天井内に室内機が埋め込まれていて、パネルだけが見えている状態で設置されています。なかでも、ビル用の空調設備に最も多く採用されており、室内機の全出荷のうち約70％を占めている機種です。パネルには吹き出し口と吸い込み口があり、吹き出し口の数によってさらに細かく種類が分けられます。

また、天井に埋め込まれた室内機は空間効率を高めるだけでなく、建物内の美観を保つ点もメリットと言えるでしょう。ムラなく均一な空調環境を保つため、大規模な施設や商業施設、オフィスなどで幅広く採用されています。

・天カセの由来

カセットは、フランス語で「小さなケース（箱・容器）」という意味です。また、建築・住宅業界では、フィルターや吸い込み口、吹き出し口などが一体になっていることをカセットと言います。

そのため、天井に埋め込まれていることから、「天井カセット形エアコン」と呼ばれるようになり、建物内部の空間を有効活用しながら、均一な空調を提供するために設計されました。

・天カセの特徴

天カセは、ビル用マルチエアコンシステムの空調設備として最も多く導入されているエアコンで、ダクトや制気口などを必要とせず、比較的低コストで設置できる特徴があります。ビル用マルチエアコン方式では、天カセ単体の運転や系統の制御も可能です。

また、天カセを設置する際は、吹き出し方向や部屋の空気の流れを考慮して、天カセのタイプを選ぶ必要があります。適切なタイプを選ぶことで、均一な冷暖房効果を実現しつつ、エネルギー効率の最適化につながるでしょう。

・インテリアとの調和

天カセは天井に埋め込む仕様であるため、部屋からはパネルだけが見えて凸凹もありません。そのため、すっきりとした外観で目立ちにくく、どんなインテリアにも調和します。床置形や壁掛形に比べて、部屋を広く使えることもメリットです。

また、パネルの色やデザインにも種類があり、好みやスタイルに合わせて選べます。インテリアや室内の雰囲気にこだわりたい場合に、最適なエアコンと言えるでしょう。

・工事や設置の方法

天カセを設置する際は、天井ボードを天カセの形に合わせて開口し、躯体のアンカーボルトに4本の全ネジを使い、本体を設置します。部屋からはパネルのみが見える形となり、冷媒配管やドレン配管は天井内を横引き配管させ、壁に設置した貫通孔を通して屋外へと送る仕様です。

窓際付近に設置する天吊形や壁掛形に比べて配管の距離が長くなります。

天カセタイプのエアコンの種類

天カセは、吹き出し口の数によって4方向・2方向・1方向といった種類に分かれます。ここでは、それぞれのタイプの特徴を見ていきましょう。

・天井カセット形4方向吹出しタイプ

天カセの中で、最も導入数が多いタイプです。4方向の吹き出し口から、それぞれ4分割された風が出てきます。部屋の中央から4方向に穏やかな風量で送風されるため、ムラのない均一な空調を実現できるところが人気です。

業務用であるビル用マルチエアコンの一種で、店舗や事務所、病院など多くの施設で選ばれています。均一な風量と適用範囲の広さから、大規模な空間を快適に保つことが可能です。

・天井カセット形2方向吹出しタイプ

パネルが長方形で、廊下など細長い形状の部屋で採用されることが多いタイプです。送風箇所が2か所で、天井の中心から左右に風を送るつくりとなっています。

4方向タイプよりも風が偏りやすいものの、見た目がすっきりしており、デザイン性が求められるI字型の店舗や事務所などには最適でしょう。

・天井カセット形1方向吹出しタイプ

吹き出し口が1方向のタイプで、エアコンの真下や両サイドには風が届きにくいため、天井の隅に設置します。室内の温度差は生じやすくなりますが、4方向や2方向のタイプよりも低コストで導入が可能です。

また、外気からの影響を受けやすい場所にスポット的に設置されることもあり、ピンポイントで快適な環境をつくることに適しています。

他の業務用エアコンと天カセタイプは何が違う？

ここからは、他の業務用エアコンと天カセタイプとの違いや、メリット・デメリットを解説します。

・天吊タイプとは何が違う？

天カセと似ているエアコンに、天吊があります。天吊タイプは、天カセのように天井に埋め込むのではなく、その名の通り、天井から吊り下げて設置するエアコンです。吹き出し口は1方向ですが、天カセよりも吹き出し口が広いため、遠くまで風が届きます。天井に穴を開ける必要がなく、工事代が抑えられるのもメリットです。

ただし、室内機や配管が室内に露出することから、見た目にこだわりたい場合は適していません。また、吹き出し口が1方向のため、柱や仕切りの多い複雑な間取りの場合、部屋の中に温度差が生じることもあります。

・業務用と家庭用は同じ性能？

業務用エアコンは、商業施設やオフィス、工場など、大規模な空間で求められる条件を満たすために開発されている一方で、家庭用エアコンは一般的な住宅や小規模な商業施設向けに設計されています。

そのため、見た目が同じように見えても、業務用エアコンのほうが家庭用エアコンよりも性能や馬力は高く設定されており、パワフルで高価です。

また、業務用エアコンは家庭用にはない電源を採用している機種もあり、必要に応じてさまざまなオプション機能を搭載できる特徴もあります。

・メリット

＜配管を隠せる＞

天カセは本体や配管が天井に隠れるため、外側から見えるのはパネルのみで、すっきりとした印象を与えます。部屋の中心部に設置しても目立ちにくく、インテリアの邪魔をすることもありません。また、本体や配管が隠れることで、室内空間を広く使うことができるでしょう。

室内の雰囲気を崩さず空間を最大限利用できるメリットから、多くの商業施設やオフィス、医療機関などで幅広く採用されています。

＜天井裏にスペースさえあれば設置場所の自由度が高い＞

天井裏にスペースがあれば、設置場所を問わないことも天カセのメリットです。部屋の隅の壁に設置場所を必要とする壁掛形とは異なり、設置場所の自由度が高くなっています。

そのため、空間を効率的に使うことができ、内装デザインやインテリアを妨げることなく、天井の中心部に設置することも可能です。

＜複数の吹出口があるので気温にムラができにくい＞

天カセは複数の吹き出し口があるため、室温を調整しやすく気温にムラができにくいというメリットもあります。特に、4方向吹き出しタイプを部屋の中央に設置すれば、全方位に風がいきわたり、快適な室内環境を実現できるでしょう。

大規模な施設や商業空間での需要が高く、お客様や従業員にとって過ごしやすい環境を提供する、重要な役割を果たしています。

・デメリット

＜設置費用が高くなることがある＞

天カセは、天井に穴を開けて天井裏に長い配管を通す大規模な工事が必要になります。そのため、他の業務用エアコンの設置費用と比べて、金額が高額になりやすい点に注意しましょう。また、メーカーの機種が少なく、大幅な値引きは期待できない点もデメリットです。

＜天井裏に十分なスペースが必要＞

天井に埋め込んで設置するため、天井や天井裏に十分なスペースが確保できない場合は、設置できません。

不具合や故障などのトラブルも、目に見えない天井裏で発生するため、修理費用が高額になったりメンテナンスの時間が長くなったりするでしょう。構造的に、しっかりメンテナンスをする際には、専門業者を頼ることになる点にも注意が必要です。

また、設置場所を決める際は、照明や配管などの位置を考慮しなければなりません。

天カセを手がける人気のメーカーはどこ？

最後に、天カセの人気メーカーの特徴を紹介します。検討中の方は、選ぶ際の参考にしてみてください。

・ダイキン

＜メーカーの特徴＞

ダイキンは、国内の業務用エアコンでシェア率の4割とトップを誇り、家庭用エアコンのシェア率も国内トップです。さらに、世界での売上ランキングでも1位に輝いています。

ダイキンの天カセの特徴は、場所による温度ムラが少ないことです。アフターサービスも充実しており、サポートセンターは24時間365日稼働しています。その他、AIによる自己故障診断やエアコンクリーニングなどの嬉しいサポートサービスが用意されていることも魅力的です。

＜代表機種＞

天井埋込形エアコン「S-ラウンドフロータイプ」

・三菱電機

＜メーカーの特徴＞

三菱電機は、業務用エアコンの国内シェア率がダイキンに次ぐ2位の人気メーカーです。消費電力量が少ない三菱電機の天カセは、ランニングコストを抑えられるのが一番のメリットと言えるでしょう。

また、デザインがシンプルなため、和室にも違和感なく馴染み、美しい室内を演出してくれます。24時間365日対応するアフターサービスが実施していることも魅力で、購入後も安心して製品を使用できるでしょう。

＜代表機種＞

4方向天井カセット形「i－スクエアタイプ」

・東芝

＜メーカーの特徴＞

東芝の業務用エアコンは価格の安さが魅力で、デザインや機能性を重視するよりも、工場や粉塵の多い現場などにできるだけ安く設置したい場合におすすめです。東芝の天カセは、安価なだけでなく省エネにも力を入れており、電気代の節約も期待できるでしょう。

＜代表機種＞

スマートエコneo

・日立

＜メーカーの特徴＞

日立の業務用エアコンは、手軽な価格のモデルから高機能を搭載した高価格なモデルまで、幅広く展開されています。特に、電気代の安さが魅力です。内部の部品や制御基板、モーターなどを改良して、高い省エネ性を実現しました。

なかでも、凍結洗浄機能が搭載された機種は、自動洗浄が可能です。エアコンに溜まるゴミを取り除くことでスムーズな運転を叶え、より省エネ効果を高めています。

＜代表機種＞

RCI-GP K3

まとめ

天カセは、優れた機能性やデザイン性から人気が高く、さまざまな場面で活躍する理想的な業務用エアコンです。業務用エアコン選びに迷われている方は、ぜひエアコン総本店にお問い合わせください。業務用エアコンに精通したスタッフが、お客様に最適な業務用エアコンをご提案させていただきます。