業務用エアコンから水漏れ！？どう対応すればいい？

業務用エアコンを使っていて、突然の水漏れに困った経験がある方も多いのではないでしょうか。エアコンの水漏れは、放置するとさまざまなデメリットが発生するため、対処法を知っておくことが大切です。

そこで今回は、水漏れする原因や自分でできる対処法などを紹介します。業務用エアコンの水漏れにお困りの際は、ぜひ参考にしてください。

業務用エアコンから水漏れする原因

まずは、業務用エアコンが水漏れする主な原因を確認しましょう。

・ドレンホースが詰まった

ドレンホースとは、業務用エアコンの室内機から屋外、または排水管に接続されている配管のことで、温度調整の際に熱交換器に付着する結露を外に放出する役割をもっています。業務用エアコンの水漏れの原因のほとんどが、ドレンホースの詰まりです。

主に、ドレンホースの穴からゴミや虫が入り込んだり、水分と一緒にホコリが排出されたりすると詰まってしまうことなどの理由が挙げられます。ドレンホースが詰まると、結露水が外に排出されません。そのため、エアコン内部に溜まった水分の受け皿であるドレンパンの容量を超えてしまい、水漏れが発生します。

・ドレン配管の勾配が甘い

エアコンの据付時に、最低でも1mで1cmの下り勾配を取る必要があります。まれに配管の支持が外れてしまって逆勾配になっているなどのケースもありますので、ドレンの隠蔽部分は後の手直しもできるよう、点検口があるとよいでしょう。

・業務用エアコン内部の不具合・故障

経年劣化によって、業務用エアコンのドレンアップメカの不具合やドレンパンの破損が起こることも水漏れの原因の一つです。

エアコン内部で発生した水分を外に排水するために使用されるドレンアップメカが正常に作動できていないほか、エアコン内部に設置されているドレンパンの破損やエアコン内の熱交換器の故障など、不具合によって、発生した水分をスムーズに外に放出できなくなることがあります。

これらの問題を防ぐためには、業務用エアコンの定期的な点検と保守が大切です。エアコンのメーカー、または専門業者へ定期的な点検とメンテナンスを依頼しましょう。部品の劣化や不具合を早急に発見することで、修理や交換を行うことができ、水漏れのリスクを軽減できます。

・室内機が傾いている

業務用エアコンの室内機が傾いていることで内部の水を溜めるドレンパンも傾いてしまい、正常に水を溜められなくなっていることが考えられます。

通常、業務用エアコンの室内機は壁や天井に取り付けられていますが、長い期間の使用や外部要因によって、機器の重力に耐えられず傾いてしまうことも少なくありません。傾きがあることでドレンパンから水が溢れてしまい、水漏れを引き起こしてしまうのです。

・冷媒ガスが少ない

業務用エアコンの冷媒ガスは、熱交換を効率的に行うために不可欠な要素です。冷媒ガスが不足すると熱交換はスムーズに行われず、エアコンの冷却効果が低下しかねません。結果、熱交換器に結露が発生してしまい、エアコン内部に蓄積されてしまいます。外に排出されないと水漏れの原因となるため、注意しましょう。

・雨水が入っている

業務用エアコン内部の水分だけでなく、ドレンホースをつたって外から雨水が室内に入り込むことで水漏れが発生するケースもあります。ドレンホースは室内機から水分を排出するための管であり、その一部に保護テープが巻かれているのですが、劣化するとテープの隙間から雨水が入ってしまい、ドレンホースに沿って室内に侵入してくることがあるのです。

室内機よりも室外機のほうが高い場所にあると起こりやすい現象で、雨の日にだけ水漏れする場合は、ドレンホースの保護テープの劣化を疑ってみてください。

・建造物の建材の影響

締め切った気密性の高い建物で換気扇を回すと、室内よりも屋外の気圧が高くなります。その結果、空気が気圧の高い屋外から気圧の低い室内に流れ込み、結露水の外への排出が妨げられてしまう点に注意しましょう。

室内と屋外に気圧差が生まれると、エアコンからポコポコという音が聞こえてきます。対処方法としては、換気扇の風量を調整したり、窓や換気口を開けて室内外の気圧を均衡にしたりすることが有効です。

気圧差による結露水の逆流を防ぎ、業務用エアコンを使用する際には快適な室内環境を維持しましょう。

水漏れが発生したらどうする？

ここからは、水漏れが発生した場合に自力でできる対処法を紹介します。

・まずは水漏れの確認をしよう

水漏れが発生したら、まずはその原因を確認しましょう。メーカーや機種によっては、リモコン操作で水漏れをチェックできる製品もあり、「ドレンパンの水位上昇」や「冷却ガス量の不足」など、水漏れの原因を知らせるエラーコードが表示されます。原因を特定することで対策方法も変わるため、まずは原因が何か調べることが大切です。

・ドレンパンやドレンホースの掃除

ドレンパンやドレンホースの汚れが原因の水漏れの場合は、ドレンパンに溜まった水を流したりドレンホースの穴を掃除したりすることで解消することが可能です。

ドレンパンに溜まった水を排水する際は必ずエアコンの電源を切り、ドレンパンの水を取り除きます。ドレンホース内に汚れや詰まりがある場合は、ドレンホースを取り外した後に水で洗浄しましょう。

ただし、ドレンホースが長くてエアコン本体から遠い場合や、ドレンホースが天井や壁の中に埋め込まれている場合は、自力での清掃が難しいこともあります。決して無理をせず、後日業者に清掃を依頼して対処するのが無難です。また、隠蔽箇所のドレン配管内に詰まりなどがある場合は、別ルートで新たにドレン配管を施工したほうがよい場合もあります。

・フィルターの掃除

軽度の水漏れなら、フィルターを掃除するだけで解消できるかもしれません。フィルターの掃除は自分で簡単にできるため、業務用エアコンの水漏れに気付いたらまずはフィルターを掃除してみましょう。

1. フィルターを取り外し、掃除機でホコリやゴミを吸い取る
2. 油汚れなどのしつこい汚れがある場合は、水洗いやお湯で薄めた中性洗剤を使用して洗浄する
3. 洗浄後は陰干しでよく乾かしてからエアコンに装着する

フィルターの掃除は難しくないため、定期的に行うことが大切です。汚れを定期的に取り除くことでエアコンの運転効率が向上し、水漏れのリスクが軽減します。また、フィルターが汚れていると空気中の微粒子やアレルゲンも除去しにくくなるため、フィルターの掃除は室内の空気の品質を保つことにもつながるでしょう。

・タイプによっては水抜きができる

天カセの4方向形は、パネルを外して水抜き用ゴム栓を開けることで水抜きできるものがあります。水抜き作業を行う際は必ず2人以上で作業し、足元が滑らないように足場を確保しながら慎重に作業しましょう。また、室内の家具や電子機器などが濡れないように十分注意してください。

取り付け時の不備によって部品が破損してしまう恐れもあるため、不安な場合は業者に依頼しましょう。

・水漏れを対応する際の注意点

業務用エアコンの水漏れに対して、素人が対応できることは限られています。あくまで一時的な対処法であるため、ほとんどが根本的な解決にはつながりません。

水漏れが発生した場合は、早急に専門の業者に連絡し、適切な修理やメンテナンスを依頼することが大切です。水漏れが継続する場合や原因不明の場合も、専門の業者に連絡しましょう。なかには24時間対応している業者もあるため、緊急時に備えて把握しておくことをおすすめします。

業務用エアコンの水漏れを放置するとどうなる？

水漏れしている業務用エアコンを使い続けると、以下のようにさまざまな不具合が起こりかねません。空調能力に問題がないからといって、水漏れを放置することは避けましょう。以下では、水漏れが招く不具合を解説します。

・悪臭

ドレンホースの詰まりが原因で水漏れしている場合、ドレンホースの中にはゴミやホコリ、カビなどが水と混ざり合い、ヘドロ状になったものが溜まっているかもしれません。この状態になると雑菌が繁殖してひどい悪臭を放つため、稼働時に送られてくる風や水漏れ箇所からも悪臭を感じるでしょう。ドレンホースの詰まりに気付いたら、早めに対処することをおすすめします。

水漏れによる悪臭や雑菌の問題も防ぐためには、業務用エアコンの定期的な保守メンテナンスを行うことが大切です。

・建物が傷みやすい

業務用エアコンから漏れた水が壁や床を濡らし続けると、建材や壁紙、床材などが損傷し、建物の外観や内部の美観が損なわれます。さらに劣化が進行すると、修復やリフォームの必要性が生じ、高額な修繕費用がかかることもあるでしょう。

また、床下に水が流れ込むことで建物の基礎が腐ってしまう恐れもあります。基礎の修理や補強は高額になりやすいうえ、水漏れの量が多い場合は湿気によってカビや害虫が繁殖し、健康に害を及ぼす可能性も少なくありません。漏れた水の被害が建物全体に広がる前に、早急に専門家に連絡して修理や対策を行いましょう。

・漏電のリスク

オフィスや会議室など、業務用エアコンを設置している場所によっては多くの電源が使用されています。業務用エアコンの水漏れを放置したことで電子機器や電源が濡れてしまうと、漏電や故障につながりかねません。最悪の場合、火災の原因になることもあるでしょう。水と電気の接触は避けたいため、コンピューターや通信機器など、被害を受けやすい重要な電子機器を業務用エアコンの周辺に並べている場合は、配置を見直してください。また、エアコンの真下は水漏れによる被害を受けやすいからといって電子機器を固めてしまうと、電源を取る位置が重なってタコ足配線になってしまい、危険です。

業務用エアコンの水漏れを放置することで起きる影響は深刻であるため、速やかに専門家に連絡し、適切な対策を行っておきましょう。

まとめ

今回は、業務用エアコンの水漏れに関する原因や対処法を解説してきましたが、自力で対処するには限界があり、あくまでも応急処置にしかなりません。水漏れが招く被害は危険なため、迅速な対応が必要です。